10シチュエーションで比較! 「Apple Watch Series 10」と「SE」どっちを買うべき?

10シチュエーションで比較! 「Apple Watch Series 10」と「SE」どっちを買うべき?

Apple Watchを買おうと思ったとき、2024年秋に発売された最新モデルの「Apple Watch Series 10」(以下、「Series 10」)と、その少し前2022年秋に出た廉価モデルの「Apple Watch SE(第2世代)」(以下、「SE」)のどちらを買うべきか、本当に悩みますよね。

「Series 10」の公式サイトでの販売価格は59,800円~(税込、以下同)、「SE」は34,800円~。デザインは似ているのに、値段は結構違う2つのモデルを、想定できる10パターンの使い方に合わせて「どちらを選ぶべきか」まとめてみました。

左が廉価版の「SE」、右が「Series 10」

左が廉価版の「SE」、右が「Series 10」

(1)運動を習慣にしたい人

→「SE」で満足できる

運動不足、健康診断にひっかかった、体重が増えた——など、運動を始めるきっかけにApple Watchを使おうと思っている場合、「Series 10」と「SE」のどちらを選んでも大丈夫です。

どちらのモデルも、ウォーキングやジョギングをはじめ、さまざまなスポーツの測定(ワークアウト)が可能。「今日は3km走ろう」「今日は15分だけ歩こう」のように、距離や時間を目安に少しずつ無理のない運動習慣を作れます。

また、Apple Watchシリーズには、毎日の活動量(消費カロリー)の目標値が、「アクティビティ」アプリにある「ムーブ」という赤い円で表されます。グルっと円が一周すると、その日の目標達成です。消費カロリーが増えるにともなって、円が徐々に完成していくので、ゲーム感覚で運動を習慣にできます。

赤い「ムーブ」リングが消費カロリーの目標値の達成具合を表しています

赤い「ムーブ」リングが消費カロリーの目標値の達成具合を表しています

ちなみに、上位モデルの「Series 10」に搭載されているセンサーは「SE」のものよりも高性能なので、心拍数の変化やジョギングのペース管理などが正確に行えます。ですが、競技レベルのスポーツ選手でなければ、そこまで細かいデータを必要とすることはないので、「SE」でも十分満足できるでしょう。

(2)マラソンに挑戦してみたい人

→「Series 10」が正解

ジョギングにも慣れてきたので、ゆくゆくはマラソン大会に挑戦してみたい——という野望がある人は、「Series 10」がよいでしょう。理由はGPSを使いながらワークアウトの測定をしたときのバッテリー持ちです。

ジョギングの測定を行っているときのバッテリーの持ち時間は、公称値によると「SE」が最大6時間、「Series 10」が最大7時間となっています。フルマラソンの制限時間が6時間であることが多く、初心者の最初の目標は“6時間以内にゴールすること(「サブ6」と言われます)”です。

この目標を達成するには、「SE」のバッテリーだとかなりギリギリ。さらに、マラソン会場への移動時にもバッテリーを消費するので、「Series 10」を選んでおけば、ちょっとタイムが伸びてしまっても、バッテリーが切れずに記録を残せるでしょう。

両モデルともにワークアウト中には心拍ゾーンなどが表示されるので、負荷を確認しながらトレーニングできます

両モデルともにワークアウト中には心拍ゾーンなどが表示されるので、負荷を確認しながらトレーニングできます

(3)アウトドア趣味や、仕事で屋外にいる時間が長い人

→「Series 10」がよい

キャンプや釣りなど、アウトドアが趣味の人や、現場作業や農作業など、仕事で屋外にいる時間が長い人は、「Series 10」のほうが屋外で画面が見やすいので、メリットを感じられそうです。

ディスプレイの明るさの最大値である“輝度”は、「SE」が1000nitsなのに対して、「Series 10」は2000nitsと2倍も明るいです。また、「Series 10」は、画面を斜めから見たときも、明るく見えやすいという特徴を備えています。

ただし、屋外にいる時間が多くないのであれば、「SE」でも十分明るいと感じるので、日常使いでは、そこまで支障はないでしょう。

(4)サーフィンとかマリンスポーツをしたい人

→どちらでもOK。ただし「Series 10」なら水温センサーが使える

Apple Watchは防水対応なので、海水浴や川遊びくらいならば、「Series 10」と「SE」のどちらを使っても大丈夫です。

ただし、水温計を搭載している「Series 10」を選んでおけば、海水の温度まで記録に残せます。趣味がサーフィンだったり、マリンスポーツのインストラクターをしていたりする人には魅力的かもしれませんね。

「Series 10」の動作水温は40度までとされています。お湯には弱いので、湯船や、乳児の沐浴の温度チェックに使うのはやめておきましょう。

ちなみに、もしダイビングで使いたい場合には、最上位の「Apple Watch Ultra 2」を検討する必要があります。

「Series 10」の「水深」アプリで水温が確認できます。水に入ったときの自動起動も設定できます

「Series 10」の「水深」アプリで水温が確認できます。水に入ったときの自動起動も設定できます

(5)睡眠の管理をしたい人

→どちらもできるが「Series 10」がよい

就寝・起床時間や、深い眠り・浅い眠りなどの睡眠ステージなどの基本的な睡眠データは、「Series 10」と「SE」のどちらでもしっかり確認できます。

ただし、「Series 10」でなければ測定できない項目がいくつかあり、睡眠時無呼吸症候群の兆候をチェックし、通知してくれるのは「Series 10」だけです。

さらに、充電管理のしやすさでも「Series 10」に軍配が上がります。そもそもApple Watchシリーズは基本的に毎日充電が必要なので、充電スピードは意外と大切。特に、日中も就寝時も健康状態の測定をしたいのなら、ちょっとしたすきま時間に充電器にセットしておくことが必要です。

「Series 10」は高速充電に対応しており、“80%までの充電に約30分”ほど。いっぽうの「SE」は“80%までの充電に約1.5時間”と3倍の時間がかかります。毎日の就寝時にスムーズな睡眠管理をしたいと考えると、「Series 10」一択となるのです。

就寝前の「充電がない!」というピンチにも、「Series 10」ならさほどストレスなく対処できます

就寝前の「充電がない!」というピンチにも、「Series 10」ならさほどストレスなく対処できます

(6)心機能に不安がある人

→「Series 10」なら心房細動のチェックができる

「Apple Watchでヘルスケアチェックができると安心」という人は、ECG(心電図)機能を備えていて、簡単な操作で心房細動(不整脈の一種)の兆候をチェックできる「Series 10」がよいでしょう。

ただし、心筋梗塞など、その他の心臓の疾患については検出できないので、「Apple Watchを着けているから安心だ」と過信できないことも覚えておきましょう。ほかにも、「血中酸素ウェルネス」と呼ばれる血中酸素飽和度のパーセンテージも測定できます。

なお、「SE」と共通する項目としては、着用者が転倒して、その後の動きがない場合に、緊急SOS機能(=救急への自動通報や指定した連絡先への通知連携など)や、環境音が聴覚に影響を及ぼす大きさになると通知する機能などがあります。

「Series 10」は、ECG(心電図)の測定に対応するなど、ヘルスケア関連機能でのメリットが多いです

「Series 10」は、ECG(心電図)の測定に対応するなど、ヘルスケア関連機能でのメリットが多いです

(7)女性の周期的な体調変化を把握したい人

→皮膚温が測定できるのは「Series 10」

「Series 10」には、皮膚温センサーが搭載されているので、過去の排卵日の推定ができます。皮膚の表面の温度(皮膚温)は、室温や毛布をかけているかなど、環境によって変動しやすいので、直接的に皮膚温そのものが指標になるわけではありませんが、長期的にApple Watchを身につけておくことで、「皮膚温の変動」を記録・分析するという仕組みです。

同機能は、使用開始のための設定・使用条件が割と複雑なので、製品購入後に公式サイトなどの確認をお忘れなく。

ちなみに、皮膚温に関しては、「バイタル」アプリで、就寝時の皮膚温の変化から体調変化の兆しをチェックするという機能も用意されています。本記事では詳細を割愛しますが、こちらは男性にも使えますので、気になる人はチェックしてください。

「バイタル」アプリは、睡眠時の各種ヘルスケア関連指標の変化を確認できます

「バイタル」アプリは、睡眠時の各種ヘルスケア関連指標の変化を確認できます

(8)ファッション性にこだわる人

→「Series 10」は文字盤を常時表示できる

Apple Watchをアクセサリー感覚で使いたい、ファッションアイテムとして生かしたいと思う人ならば、「Series 10」が向いています。特に「Series 10」で登場した新カラーの「ジェットブラック」は、かなり質感がよいです。もし、予算に余裕があれば、より上質なチタニウムケースを選択することもできます。

また、「Series 10」は、文字盤(画面)の常時表示に対応しており、スリープ状態でも、普通の腕時計のように振る舞えます。さらに、常時表示時に秒針が動く、よりリアルな文字盤も登場しています。

いっぽう「SE」は、スリープ時には画面が真っ暗になります。もちろん、文字盤が真っ黒でも見た目はかっこいいので、あまり気にならない人も多いでしょう。ただし、ファッション性にこだわるならば、「Series 10」のほうが楽しめると思います。

ちなみに、「Series 10」は、指先をトントンッと合わせて操作する「ダブルタップ」のジェスチャー操作が使えるので、扱う姿もスマートに見せられそうです。

スリープ中の「SE」(左)と常時表示中の「Series 10」(右)

スリープ中の「SE」(左)と常時表示中の「Series 10」(右)

(9)家事をしながら便利に使いたい人

→どちらでもOK

手元でSiriを使ってサッとタイマーをセットしたり、「インターコム」という機能を使ってほかの部屋に設置してあるHomePodから「ご飯できたよー」と声を届けたり、何かと家事に便利なのもApple Watchの特徴。これらの使い方は、「SE」と「Series 10」のどちらも対応しています。

ただし、Apple Watch本体のスピーカーを使って音楽を再生したい人は、「Series 10」を選びましょう。「SE」は対応していません。洗面所で洗濯機に向き合っているときや、ホウキを片手に歩き回っているときなど、Apple Watchから音楽を流しておくと、iPhoneを持ち歩かずに済みます。ワイヤレスイヤホンを併用すれば、「SE」でも十分済んでしまうのですが、このあたりは好みによりますね。

ちなみに、Apple Watch単体で通話をしたいなら、「Series 10」には「声の分離機能を備えたマイク」を搭載しているので、クリアな音声を届けやすいこともお見逃しなく。ただこれも、iPhoneやAirPodsがあれば、そこまで気にしなくてよさそうです。

Apple Watchと連携できる機器をつなぐ「インターコム」機能

Apple Watchと連携できる機器をつなぐ「インターコム」機能

(10)子どもに持たせたい人

→安価な「SE」で十分

Apple WatchはGPSに対応しているので、子どもの見守りに使えます。さらに、GPS+Cellularモデルを選択し、必要な通信プランを契約すれば、ウォッチ単体で音声通話やテキストメッセージのやり取りが可能。親が整えたファミリーアカウントで管理することで、子どもがiPhoneを持っていなくても、Apple Watch単体で利用できます。こうした使い方は「SE」と「Series 10」のどちらでも可能なので、安く手に入る「SE」でよいでしょう。

また、Apple Watchに備わった環境光センサーを使って、日光下で過ごした時間の推定値をチェックするという機能もあります。ヘルスケアアプリには「子どもの場合、毎日屋外で80~120分過ごすことで近視/近眼になるリスクを下げる可能性があります」(※)との記載もあるので、子どもの屋外での活動時間を知りたい人にも役立つかもしれません。

※出典元:Apple「ヘルスケア」アプリ

「SE」は「Series 10」に劣らずかっこいいです。デザインを気にするお子さんも満足することでしょう

「SE」は「Series 10」に劣らずかっこいいです。デザインを気にするお子さんも満足することでしょう

【まとめ】使い方と予算感に合わせて最適なほうを選ぼう

「Series 10」と「SE」のどちらを選ぶべきかを、想定される10パターンのシチュエーションで比較しました。マラソンでのバッテリー持ち、充電速度、心電図(ECG)の有無、女性の周期的な体調変化のモニタリング、ファッションアイテムとしての応用——など「Series 10」でないと不便に感じる場面がありますが、基本的には予算感に合わせて、どちらを選んでもよい場面が多いです。あなたの用途に適したApple Watchはどちらだったでしょうか?